カテゴリー: 11 明治生まれの作家
「潤一郎ラビリンスⅢ」(谷崎潤一郎)
それは「作家谷崎誕生」の瞬間と重なる 「潤一郎ラビリンスⅢ」(谷崎潤一郎) 中公文庫 「The Affair of Two Watches」「つまらんさ!そんな事をしたって!其れよりは多勢引っ張って行ってウント牛肉でも食...
「少女地獄」(夢野久作)
「書簡体形式」「少女の自殺」「心理的サスペンス」 「少女地獄」(夢野久作)(「少女地獄」)角川文庫 妾が息を引き取りましたならば、眼を閉じて、口を塞ぎましたならば、今まで妾が見たり聞いたり致しました事実は皆、あとかたもな...
「百年文庫043 家」
描かれているのは「人間の暮らし」 「百年文庫043 家」ポプラ社 「帰宅 フィリップ」四年ぶりに家に帰ってきたラルマンジャは、何事もなかったかのように妻や子どもたちに迎え入れられる。しかし、その後にやって来たかつての知り...
「求婚者の話」(久米正雄)
味わいどころはずばり、「鈴木君」のキャラクター 「求婚者の話」(久米正雄)(「学生時代」)旺文社文庫 「求婚者の話」(久米正雄)(「百年文庫052 婚」)ポプラ社 単刀直入を身上とする大学生「鈴木君」は、窓下を眺めていて...
「趣味の遺伝」(夏目漱石)
漱石はいったい何を意図していたのか? 「趣味の遺伝」(夏目漱石)(「倫敦塔・幻影の盾」)新潮文庫 若い女だ!と余は覚えず口の中で叫んだ。背景が北側の日影で、黒い中に女の顔が浮き出したように白く映る。眼の大きな頬の緊った領...
「呪はれた戯曲」(谷崎潤一郎)
作品自体が「妻譲渡事件」の「劇中劇」か? 「呪はれた戯曲」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅧ」)中公文庫 お前の命と己の命と、孰方が貴いかと云えば、己の命の方が貴い。お前は何の働きも自覚もない平凡な女だ。己は此れでも才...
「劉廣福」(八木義徳)
劉廣福のサクセス・ストーリーを味わいましょう 「劉廣福」(八木義徳)(「百年文庫048 波」)ポプラ社 実をいうと私は最初からこの男には特別の注意を払っていたのであった。常人の確実に二倍はあろうかと思われるその並はずれて...
「動物」(武田泰淳)
人間の存在の根幹に深く思いを巡らせるべき 「動物」(武田泰淳)(「百年文庫045 地」)ポプラ社 ナラ、カシ、クワ、コクワ、アケビ、ヤマブドウ、木の実の類がほとんど全滅です。食料欠乏に困り抜いた動物たちは、危険を冒して村...
「俊寛」(芥川龍之介)
どこまでもクール、リアル、ニヒル 「俊寛」(芥川龍之介)(「芥川龍之介全集4」)ちくま文庫 「俊寛」(芥川龍之介)(「羅生門・鼻」)新潮文庫 俊寛様の話ですか?俊寛様の話くらい世間に間違って伝えられた事は、まずほかにはあ...